ふと、辺りを見回す。
前方の黒板には、様々な数学記号が踊っている。
自分のノートにあるものと同じだ。
その黒板の前に立ち、さらに黙々と数字を書き連ねていくサムス先生。
その後ろに座る、十数名の生徒たち。
各々が、思い思いに授業を受けている。
一番前に座るマルスは、じっと黒板を眺め、書かれる文字を素早く写していく。
隣のフォックスも、真面目に数字を眺め、時たま書き取っていく。
ネスは鉛筆を持ったまま、黒板を見つめて動かない。
そして・・・
(いいのかなぁ、二人揃って・・・)
ロイの前の席に並んで座る、リンクとファルコ。
机に突っ伏し、動かない。
「リンク!ファルコ!」
ロイが小声で呼び掛ける。
ほんのわずかに、リンクはロイを見やる。
ファルコも、極々小さく反応を示す。
「そろそろ解説始まるよ?」
「・・・解説、聞いてもわかんないもん・・・」
「なんのために数学取ってるんだ」
「歴史よりマシだから」
「せめて起きてようよ」
「分からないもの聞くより、
次の授業に備えて寝といた方が有意義じゃないか」
「・・・同感」
リンクの横で、低く呟くファルコ。
「お、珍しく意見が合ったね」
「・・・」
「そんなとこばっかり合わせないでよ。
ほら、先生が見てる・・・・・・ッ!!」
避けたロイのすぐ横、何かが、過ぎ去る。
恐る恐る振り向けば
床に黒板消しが一つ転がっている。
「ロイ、うるさいわ」
「・・・す、すいません」
リンクがクスッと笑い、ファルコは知らぬ顔で再び寝入ろうとする。
・・・が
「!!!」
コツッ
と、いい音がして、
二人に今度はチョークが一つずつ命中する。
「イッ・・・!」
「痛い・・・」
軽く悲鳴を上げる二人を一瞥し、
「写し終わったかしら?説明するわ。この数式は・・・」
授業にもどる先生。
ロイは慌てて黒板を写し始める。
・・・一番前の席のマルスが、ちょっとこちらを振り向き、笑ったのが見えた。

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