「マルス〜♪」
「リンク、…って!すごいお酒のにおいするんだけど!」
マルスは驚きを隠さず、リンクを眺めた。
子供のような笑い顔が、少し赤いように見える。
その手には、何やら怪しい瓶をひとつ、握っていた。
「えへ、わかる?」
「わかるも何も…どうしたんだ?」
「エンカイだって〜」
言いながら、持っているものを、飲み続けるリンク。
「宴会…誰と?」
「えーっとねぇ…クッパでしょぉ、キャプテン・ファルコンにぃ、
フォックスでぇ、ファルコとぉ、
…あとルイージ」
「それは…さぞ、にぎやかだろうね」
宴会とやらの様子が容易に思い浮かぶ。
「すっごい楽しいよ〜♪」
確かに、楽しそうだ。
「マルスも飲む?」
と、リンクが瓶をマルスに突き出す。
「え!」
思わず身を引くマルス。
「リンク・・・未成年がお酒を飲むべきではないよ」
「ミセイネン?」
「大人じゃないってこと」
「ふーん?でもミンナ、若いうちにたらふく呑んどけって言ってた」
「あぁ・・・言いそうだ、確かに」
「マルスも、まだワカイよね〜」
言って、また瓶に口をつける。
「だから、それはちが・・・・・・・・・!」
唐突に
リンクは、マルスに顔を寄せ、
彼の唇に口付けをした。
(!)
それはあまりに突然で、
避ける余地もなかった。
柔らかな唇の感触、
そして、生暖かくて、甘い液体が、マルスの口の中へ流れ込む。
抵抗する術もなく飲み込まざるを得ない。
彼の中のすべてを飲み干しても、リンクは放してはくれなかった。
そのまま、マルス共々倒れ込む。
(僕にどうしろというんだ)
マルスの心がはやる。
だが、
リンクは、その状態から動くことなく
静かな寝息をたてはじめ・・・
・・・寝入ってしまった。
安堵半分、残心半分。
マルスは口を拭った。
そして、リンクが持っていた瓶を見つめる。
「・・・お酒じゃなかったのか」
瓶の文字は、彼には読めない物で、
何のジュースかはわからない。
だが、口にしたものが、酒でないのは確かだった。
おそらく、気の利く誰か・・・フォックスあたりだろうか?
酔い醒ましに持たせてくれたのだろう。
「人騒がせなんだから・・・」
つぶやき、改めてリンクを見やる。
抱き枕か何かと間違われているんじゃないかとも思える。
いまだ、マルスを抱え込んで放そうとしない。
マルスは、リンクの頭をなで、
「どうしたものかな」
ひとりごちた。
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