「愛を語るって」
「そんな、風情があること・・・」
「結局どういうこと?」
「・・・え?」
リンクの疑問に、
つい、言葉を切るマルス。
「だから、愛を語るって、具体的に何するの?」
リンクはいたって真面目な顔をしている。
裏も表もなく、
ホントにそう思っているようだ。
ちょっとした遊び心がマルスに芽生える。
「・・・そうだな」
と、
「まず、肩を寄せる」
とりあえず思い付いたことから言ってみる。
「肩を寄せる?」
「そう」
「こう?」
と、本当に肩を寄せるリンク。
「そ、そう」
「で?」
「えと…目と目を合わせる?」
「目?見つめ合う?」
マルスが顔を横に向ければ、リンクもこちらを見つめていた。
その目は、いつもと変わらぬまなざしで、
本気か遊びか、計ることは出来ない。
「それで?」
促すリンク。
マルスは少し戸惑った。
いくらでも、道はある。
このまま一晩過ごす、とか、
ここから先はナイショ、とか
あとはご想像にお任せします、など
様々な続きの言葉が頭の中に浮かぶ。
だが、それはすべて、言い訳でしかない。
ふと蘇る、母の言葉。
『出されたものは、残さずお食べなさい』
いや、それは違う。
わかってはいても、
それもまた言い訳になってしまう。
「リンク・・・」
「なに?」
これは本気?と聞いてみたかった。
だが、彼の答えはわかっていた。
『本気だよ』
しかし、それが、何に対してだかなど、知る由はないのだ。
人の心は禍の如く・・・
マルスは、考えるのを止めた。
そっと、腕を、リンクの腰に添える。
そうと決まれば、迷うことなどなかった。
優しく、
限り無く優しく、
彼の体を引き寄せる。
「目を、閉じて」
囁いて
さらに近付く。
あくまでも、優しく丁寧に、
いつでも彼が拒絶できるように・・・
(狡いな)
静かに、唇を重ねる。
「・・・」
沈黙の時が流れる。
触れ合う感触のみが、確かにそこにはあり、
その間、
どちらも、それ以上の動きをすることはなく、
ただ時のみが流れた。
マルスが離れる。
リンクを見つめる。
リンクもこちらを見つめている。
「・・・」
嬉しいとも、嫌だとも、なんとも言わぬその顔。
・・・おそらく、自分もそんな顔をしていたんだろう。
「ふ〜ん」
リンクは、にっこり笑って
言った。
「今度、俺もやってみよ」
「え、それは・・・誰に?」
「・・・ナイショ♪」
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