「はぁ・・・はぁ・・・」
神殿の、崩れた石壁の影で座り込む。
乱闘はまだ続いている。
だが今自分を標的として視界に入れているものはいないはず。
息を潜めようにも、
荒れた呼吸をうまく整えることができない。
出来るだけ大きく吸って吐く、その吐息にどうしても声が混じる。
(・・・・・・きつい)
当然だ。
『ここ』でも有数の歴戦の参戦者たちを相手取っているのだから。
いくら息を吸っても足りない。
呼吸と共に胸の鼓動も大きく跳ねる。
動いている時には伝わってこなかった疲労と苦痛。
(なんで俺、こんなキツイ思いしてるんだ)
こんなもの、
必要ないはずだ。
戦うことになんの意味もないのだから。
苦しい思いをして、剣を振って、傷ついて、傷つけて、疲れて、また苦しんで。
(得られるものなんて何もないじゃないか)
このまま座っていれば、時は終わる。
戦いは終わる。
勝利はない。だが苦痛もない。
(・・・・・・)
その終わりに残るのはただの敗北だけ。
(・・・・・・)
息はまだ荒く、吐息が空気を震わせている。
垂れた頭の前には、地面に突き立てたマスターソード。
その柄からまだ左手は離れていない。
(俺、バカなのかな)
しかし、自分の中の歯車はまったく軋みなく動いている。
リンクは、剣を引き抜いた。
振り向いて、段に足をかけ、
「はぁぁッ!!」
声を上げ、飛び降りる。
その先に居る者たちの視線が一気に自分に集まり、彼らがとっさに間を開ける。
重き音と共に、
剣は地面へと突き立つ。
まっすぐ立った剣の奥に、相手が見える。
彼らの目もまた、それぞれの色でこちらを見る。
ピカチュウのそれは獲物を見る目。
こうなったらもう、ポケモンはまさに闘争心の塊。
マリオのそれは誘いの眼差し。
彼は絶対こちらに手を差し伸べはしない、なのにいつも見ていてくれる。
そして
もう1人―――
「は〜〜〜い☆
みんな、ごはんの時間だよ〜〜っ!」
コックの帽子にでっかい鍋、
楽しそうにおたまを振り上げる、カービィ。
・・・・・・もうちょっと隠れてればよかった。


皆、常に模索を続けているんです
この人は特に
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