


「いけっ!・・・そこそこっ!
・・・あ〜っ違うって・・・そこだっ!」
天空界の神殿にある水鏡。
その前で、子供のようにはしゃいでいるピット。
「よし!
・・・えぇ〜ッ!まだ戻れるの!?しつこくない?」
横からフォックスとリンクも、
ピットと同じく、水鏡の中を眺めていた。
映し出されているのは
アイクとマルスの一騎打ちの模様。
「マルスって、なんであんなしぶといのかな・・・」
「お前たちよりは場慣れしているからな、あいつ」
「でも僕と違って翼持ってるわけじゃないし、それにアイツ、細過ぎッてぐらい細いよね?」
「・・・お前もじゅーぶん細いし小さいと思うんだが」
「そんなことない!フォックスよりは・・・」
「俺と比べてもしょうがないだろ」
「ねぇっ!リンクもなんか言ってよ!」
「・・・」
「リンク?」
ピットは、答えないリンクの顔をのぞきこんだ。
リンクは水鏡の中を凝視したまま動かない。
その目は真剣そのもので、
アイクとマルスの闘いを一瞬たりとも見逃すまいとしているようだ。
「リンク〜?」
「完全に見入ってるな」
「いっつも近くで見てるくせに」
「まぁ、最近負けが続いてるみたいだから」
「え?誰が?」
「リンクが」
「アイクに?」
フォックスがうなずくと、
ピットは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「へぇ〜なるほど、クヤシイから勉強してるのか〜」
「うるさいよ、ピット」
リンクがようやく口を開く。
「フォックスも余計なこと言うなよな」
「事実だろ?」
「ねぇねぇ、アイクの乱闘見て、どんな手考えてるの?」
「別に手なんて考えてないよ」
「えー考えないと意味ないじゃない。そうだ!マルスみたいにさ・・・」
「ちょっと見てるだけだって!
・・・別に何も考えたりとかしてない」
「でもアイクには勝ちたいんだろ?」
「・・・・・・まぁ・・・」
「じゃぁやっぱ策練らなきゃ!」
「そんなのいらないってば!」
2人を横目に、
フォックスは水鏡を眺めた。
まだ剣士たちの戦いは終わりそうにない。
「ん?」
と、
気配を感じて、フォックスが後ろを振り向く。
そこには、神殿の入り口のほうからこちらへと歩いてくる、
1人の人物。
「・・・アイク?」
フォックスが呟いた言葉に、
リンクとピットも振り向いた。
「!
アイク、なんでいるの?」
つい声を上げるピット。
「なんでって・・・いちゃ、悪いか?」
「だって、ここに・・・」
ピットが指をさした水鏡に、
アイクは不思議そうな顔で近づき、
「・・・あぁ」
そのわけを悟った。
「これは、さっきのだな」
「さっき?」
「録画ってことか?」
「・・・たぶん」
フォックスの言葉に、アイクは適当な相槌を打つ。
そして
「リンク」
「・・・?」
アイクは、
まだ『なんでいるの?』と言いたげな顔のリンクに呼びかけた。
「今なら、相手できる」
「・・・もしかして、探してた?」
「あぁ」
「わざわざ・・・いいのに、会った時で」
「それじゃ何時になるか分からないだろ」
「いいんだよそれで。
・・・乱闘してきたとこじゃないのか?」
「いや、さっきまで寝てた」
「・・・じゃ、相手、してもらうかな」
リンクは、水鏡の縁についていた手を離す。
それを見てアイクも来たほうへと足を向けた。
「ピット、また来るよ」
「乱闘するのはいいけど、
パルテナ様のお邪魔にならないとこ行ってよね」
「わかってるよ」
リンクとアイクが並んで神殿から出て行く。
見送る、残り2人。
「・・・今度は勝てんのかなぁ、リンク」
「どうかな。とりあえず・・・」
「とりあえず?」
「余計な『こだわり』を捨てるまで無理だと思うぞ」
「『こだわり』?」
「・・・リンク」
「なに?」
「・・・・・・・・・道具」
「使わないッ!」
「・・・」
「剣だけでも勝てないと意味ないんだって!」
「前にも言ったが・・・やっぱり道具も含めてお前の・・・」
「いーやーだーッ!使わず勝ってこそ意味があるの!」
「・・・でも回転斬りまで封じなくても・・・」
「これでいいんだって!!」
(・・・使ってくれたほうが俺の練習になる気がするんだが)
あくまでも一時的なこだわりかと。
なんだか、DXの3剣士は3人ともわりと好きそうだけど、
Xだとこういうのはリンクだけで、
アイクやピットは、とにかく常勝目指すタイプ?
・・・という気がします。
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