「ねぇ〜」
    
    「なに?」
    
    「朝焼けと、夕焼けって、どーちがうの?」
    
    
    
    カービィが、リンクに尋ねる。
    辺りは夜の帳が徐々に薄れはじめている。
    まだ、日は昇っていない。
    リンクの横では、ピカチュウが穏やかな寝息を立てている。
    
    
    
    「どう違うって・・・
     そりゃ、朝日と夕日の違いだろ」
    
    「朝日と夕日は〜?」
    
    「昇るか暮れるか、じゃないか」
    
    「・・・おんなじ太陽なのに、なんで色がちがうの〜?」
    
    「え・・・」
    
    
    
    唐突に難しくなった問いに、言葉を詰まらせる。
    
    
    
    「なんで〜?」
    
    「そ、それは・・・・・・えっと・・・」
    
    「わかんないんだ〜」
    
    「カービィだって知らないくせにっ!」
    
    
    
    リンクが声を上げるが、カービィは笑って取り合わない。
    
    
    
    「リンク、ピカチュウが起きてしまうよ?」
    
    
    
    二人の隣、
    マリオがそっとたしなめた。
    言われて、リンクがピカチュウに顔を向ける。
    ・・・起きる様子はないようだ。
    ほっと息をついて、
    リンクは再び、前を向いた。
    
    
    
    目の前に広がる、広い、広い空。
    マリオ、リンク、そしてカービィは、しばし黙って佇んだ。
    
    
    
    頬を、風が撫でる。
    空には未だ星が微かに瞬いている。
    
    
    
    「なぁ、マリオ」
    
    「なんだい」
    
    「日が昇ると、何が起きるんだ?」
    
    「何も起きないよ」
    
    「・・・そんなことない」
    
    
    リンクが、
    マリオに向いて首を振る。
    
    
    
    「何かが、始まりそうだ」
    
    「・・・何も変わりはしないよ」
    
    
    
    マリオがリンクに答える。
    その目はただ前のみを見据えている。
    
    『変わらない』
    
    そう言いながらも
    マリオの表情にはいつもと違う思いが見えるように感じた。
    いったいそれがなんなのか、わからないけれど。
    
    
    
    次第に、空が白んでいく。
    
    
    
    「また今日も、新しい一日が始まる、
     ただ、それだけさ」
    
    「・・・そう・・・だな」
    
    
    
    リンクも、空を眺めた。
    夜明けは近い。
    自然と気が引き締まって、小さく奥歯を噛む。
    マリオが、そしてカービィが、
    彼へちらと目を向けたのに、気付きはしなかった。
    
    
    
    「・・・ピ」
    
    ピカチュウも目を覚ました。