もうすぐだ。 あと少しで、この偵察任務の期間が終了する。 もう、すぐだ。 だが、未だこの偵察に、確かな意義があるのかわからない。 情報はかなり集まった。 しかし、知れば知るほど、わからなくなる。 いったい『ここ』とはなんなのか。 様々な文化を持った、種族の違う人間。 衣服を纏い、言語を操る動物。 見たこともない生き物・・・らしき者。 存在する『世界』そのものが自分とは異なる者達。 彼等のことを理解するには、膨大な知識と時間を要するに違いない。 ・・・ここが、戦地であること、それだけは確かだ。 誰もが戦いを求め、 常に力を奮い、 他者と争っている。 しかしながら、その空気に戦場独特の淀みはない。 もちろん、 戦っている者達の目の光にも。 彼等の戦い振りは存分に見せてもらった。 見ているだけで、 誰もが素晴らしい戦士であることが伺える。 こんなに腕が疼くのは久しぶりだ。 そう、本心を言えば、 偵察任務など放り出して、今すぐにでも彼らと手合わせをしたい。 本来、思うことすら許されぬ思考。 偵察中に早まった真似はできない。 それは部隊の任務はおろか、自分の命に直結する問題となる。 しかし、『ここ』は違う。 そう言える根拠などどこにもない。だが、違うと知れる。 ・・・ もうすぐ、だ。 「・・・よくこの箱見るけど・・・ やっぱり開けたら怒るかな、中の人」