02教育上良くないです
「マルス〜っ!」
「あぁ、リンク」
「ロイの調子、どう?」
と、
なぜか地面に寝転がっているロイを見やる。
「悪くないよ、ねぇ?」
「は、はい!!もちろん、元気ですよ!?」
師匠の言葉に、
慌てて跳ね起きるロイ。
「あはは、大変そうだな」
「誰のせいだ?」
「え?」
「どうせキミだろ?弟子入りなんて言い出したの」
「そうだよ」
リンクはあっけらかんと、肯定してみせる。
「いいだしっぺなりに、少しは役に立てよ」
「・・・俺に何を教えろって?」
「うーん、そうだなぁ」
と、マルスはロイに視線を投げる。
きょとんとそれを見つめるロイ。
「戦場で生き抜く術とか」
「・・・戦場?」
「あぁ・・・」
リンクが『戦場』というところに生きる者でないのを思い出し
言い直す。
「旅する時に、いつも気にしていることでいいんだ。
いうなれば・・・・・・信条?かな」
「んー」
リンクは考え込んで
言った。
「準備万端、備えあれば憂いなし」
「う、うん、そうそう」
意外とまともなことを言ってくれるリンク。
・・・『ここ』では準備も何もあったものではないのだが。
とりあえずは、先を促すマルス。
ロイの目も真剣だ。
「一投入魂、とにかく頑張れ」
リンクは、思いつくまま
先を続けた。
「使えるものは何でも使え。
草は刈れ、穴は掘れ、なんでもかんでもやってみよう
落し物は拾っておけ」
「・・・リンク」
「ん?なに?」
「もういいよ、十分だ」
「あ、そう?」
「君はもう少し、言葉の選び方を学んだほうがいいかもしれない」
「・・・?」
「ロイ」
「はい!」
「・・・いつ何時も、
必要な情報とそうでないものは、しっかり分けなさい」
「はい!」
「間違っても穴なんか掘らないように。
大事な公爵家の嫡男なんだからね」
「・・・はい、師匠!」

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