「はぁぁ〜〜」
大きなため息をつくロイ。
「そう落ち込むなって。
いつものことじゃん」
その横で、リンクがにこやかに励ます。
「でも・・・」
「そのうち勝てるようになるさ」
「一回も勝てたこと、ないんだよ」
ロイは、本気で落ち込んでいるようだ。
笑いながらも、どうしたものか考えるリンク。
ロイの抱える大事な悩み、
それは
『マルスに勝てない』
その一点。
「はじめはそんなものだって」
「じゃ、先輩もそうだったの?」
「え?」
「先輩は、やっぱりはじめはリンクに勝てなかった?」
「え、えぇ〜っと・・・」
リンクが空を仰ぐ。
「・・・はぁ〜」
「マルスがおかしいのさ!ロイじゃなくて!」
あくまでマルスのせいにするリンク。
だが、その弁明ももはやロイには届かない。
「僕は、先輩に勝ちたいんだ」
改めて主張するロイ。
慰めか、諌めか、
リンクはとりあえず事実を口にする。
「俺だって、負けるよ?マルスに」
「でも先輩はリンクのこと、認めてるじゃないか」
「それはどうかなぁ?」
まさにロイの悩みの種、その根底を、
リンクは軽く笑い飛ばしてしまう。
「僕も認められたいんだよ!」
「うーん・・・」
「・・・」
「・・・」
「んじゃ、弟子入りしてみれば」
「え?どこに?
・・・まさかリンク、また変な道場でも開いた?」
「またってなんだよ」
「いや、やりそうだから」
「俺じゃなくて・・・・・・マルスに、さ」
ひょんな一言から、
ロイの、修行が始まる。
厳しくて、険しくて、
ちょっとよくわからない感じの、修行が。

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